時をかけるバンド

5月中に視聴したドラマ。地上波でも放送されたらしいが、見逃している。TVerでむやみに宣伝が流れて気になっていた作品。FOD「時をかけるバンド」(2020)は1話26分×10話、最後の3回分くらいは回想部分などが含まれるのでややダレるが、佳作。ガールズバンドの物語。このドラマを最初に引っ張る曲が「オレンジ」(赤い公園)で、これをほぼフルで演奏してみせる第3話、それから未来から来てプロデューサー役を買って出た亮(三浦翔平)の病気の深刻さが登場人物たちに共有される第7回が山場である。何よりも第1話の橋の上での三浦と白石のやりとりが、物語の滑り出しとして効いている。

白石聖は外見を若い頃の水野美紀といまの指原莉乃を足して2で割ったような姿に寄せて熱演している。三浦翔平が主演格になるようだが、この作品は基本的に白石聖を見せるドラマである。wikipediaによれば韓国原案でアジア諸国でドラマ制作されたプロジェクトの1つらしい。ガールズバンドのベース・長井短、ドラム・大原優乃。楽曲提供は赤い公園で、「オレンジ」「衛星」「pray」、いずれも佳い曲。作詞作曲した津野米咲さんは昨年亡くなったようだ。

ドラマのエピソードでも出てくるが、本歌取りをしたと思われる「時をかける少女」を知っているとより楽しめる。

2019年から2006年にタイムスリップした亮の深刻な病がドラマの時間軸をつくっていて、切ない設定である。最後にどうなるか。これは書かないでおこう。

かつては15分、20分、30分枠のドラマはそれなりにあったが、ネット配信、そして地上波でも深夜帯放送を見越していたのか、1話ほぼ30分弱というのは案外見やすかった。ディテールにはご都合主義的にいろいろ抜け落ちていることもあるけれども、7話くらいまではスピード感がある展開。物語を見たという満足感はある。