「協奏曲」「男女7人夏物語」

TVer「協奏曲」「男女7人夏物語」を配信している。8月9日の時点で、前者は7話まで、後者は4話まで見ることができた。

「協奏曲」(1996年)は脚本が池端俊策(「麒麟がくる」)、劇中の音楽はバート・バカラックアルフィー」他が使われている。田村正和木村拓哉宮沢りえが出演。びっくりしたのは(つまり完全に忘れていたのだが)、佐藤慶が田村のライバルの建築家・建築会社社長として出てくることだ。これは珍しい。リアルタイムで見ていたドラマだったので、なつかしいのだが、やはりあらすじ等完全に忘れていた。印象に残っているのは建築家(田村)が自分が設計したビルが施工の関係で設計通りにならないと知ると、夜中の建築現場へ出かけていって、自分の傑作がこのまま妥協したものになるのは嫌だとキムタクに話して、ハンマーでガラス窓を壊しにかかるシーンである。

最後がどうだったか、8話以降が配信された時に見てみないとわからない。

田村の元妻役で余貴美子が出てくる。木村拓哉はやはりこの時期が一番かっこいいのではなかろうか。

男女7人夏物語」は1986年の作品。さすがにいろいろなシーンに出てくる道具などが古い。家の電話の時代だからなぁ。鎌田敏夫の脚本だから、物語じたいはしっかりしていて、いま見ても面白い。このドラマを好んだ人たちは、夏物語で描かれるさんま・しのぶの関係が結婚・離婚を経て現在まで続いていると思って(少なくともこのイメージの延長で)いまの(大御所になった)2人を見ていることになる。若い世代はまったく知らないだろうが、かなりインパクトのあるドラマだったのである。

私が好きなのは、7人の男女が深夜に学校だったかのグラウンドに真夜中に入って戯れるところ。さんまさんが独り言を言いながらグラウンドを走るシーンがあるのだが、あれがかっこいいのである。さんまさんの生き方の基本はアレだと思っている。このドラマは86年なのに、あらすじやエピソードを結構覚えている。

「夏物語」の後には「秋物語」があるのだが、秋はハッピーエンドだが少し重い話しになっている。夏物語の開放感があって、秋がある。どちらが好きかと言われると、夏の明るさは何ものにも代えがたいと思う。この2つのシリーズはさんまとしのぶが住む場所が上手に設定されていて感心する。夏は橋のあちらとこちら、秋はフェリーで川崎と君津を往復する。

「協奏曲」は物語の骨格が明確で、俳優を入れ替えてリメイクができるだろう。「男女7人」は物語は確かによくできているのだが、登場人物のキャラクターと俳優のシンクロを基盤にした作品なのでリメイクは難しいのではないか。男女7人は俳優を入れ替えると、たぶんまったく違う作品になるはずだ。どちらも携帯電話の時代に合わせると、いろいろと細かいシーンを工夫しなければならないかも知れない。さんま・しのぶのようなかけあいをするには俳優さんに相当な力量がないと無理だと思う。

田村正和さんが亡くなったときに、一番見たいなと思ったのは「協奏曲」だった。田村さんが元気であれば、田村正和木村拓哉宮沢りえの組み合わせで何かドラマを観てみたかったなぁ・・と思ったのだった。