最愛、最終回を見る。

「最愛」全10回、TVerで完走した。すばらしい作品。SNSの考察や論評がたくさんあるので、何か新しい発見があるとか、ユニークな感想を書けそうもないが、最近の民放ドラマのなかでは出色のデキ、傑作である。

それぞれの登場人物の「最愛」が重要というコメントが多い。しかし、ミステリでありサスペンスである以上、ミステリの文法にかなっているかどうかは物語の土台になっているので、こちらがダメだとすべて(上部構造)は潰れることになる。ミステリ、そしてサスペンスとして見ると、登場人物のアリバイを基本にした犯人特定は手堅い物語の運びで感心した。引き金をひくことになった人とトドメをさすことになった人が違うだろうという予想はできたが、最後までアノ人だという確信は持てないような見せ方、しかし、アノ人しかいないだろうという犯人特定は見事というほかない。しかもドラマの最後でアノ人を物語のなかで上手に手放すという離れ業。

吉高由里子がうまい俳優さんだということはこのドラマでよくわかった。苦い思いを含みつつ、若い2人のカップルのハッピーエンドで締めくくったのも品がよくて気に入った。すばらしい作品。ほんとうにすばらしい。