アニータ・ムアジャーニの臨死体験本を読んだ

アニータ・ムアジャーニ『喜びから人生を生きる! ― 臨死体験が教えてくれたこと』ナチュラルスピリット、2013年6月を読んだ。著者の臨死体験談である。

アニータはほとんど全身を癌にむしまばれ瀕死の状態となり、臨死体験臨死体験後、すべての癌が短期間のうちに、一つ残らず消え、回復してしまう。

臨死体験のなかで、彼女は自分が癌になった理由を悟る。「人と違う自分を責め、ありのままの自分を愛せなかったからだ」というのが病の理由である。基本的に、ありのままの自分では人から愛されないかも知れないという彼女自身の怖れが彼女の身体をむしばみ病を作り出していたと了解する。

臨死体験後、癌は急速に快癒してしまう。本人も担当医も予想できない回復だった。

「私の癌が治ったのは、心の状態や信念が変わったことよりも、
自分の真の魂が輝き始めたおかげだとはっきり言いたいと思います。
多くの人から、プラス思考のおかげで治ったのかと尋ねられましたが、
そうではありません。臨死体験の最中に私がおかれていた状況は、
心の持ち様をはるかに超えたものでした。
私の癌が治ったのは、自分の有害な思考が完全に消えてなくなったからです。」

彼女は臨死体験前につきあっていた友人たちと話しにくくなったと感じていたが、新たに彼女の臨死体験臨死体験後の快癒について知りたい人たちとの係わりが生まれ、自らの役割を、人はありのままですばらしい存在であり、自分らしく生きることが人生の目的であることを伝えることにあると考えるようになった。

臨死体験については立花隆氏がルポルタージュを執筆していて、日本でもまじめに受けとめられるようになった。アニータさんの話しで興味深いのは、有害な思考がなくなったとたん重病の快癒が起こったこと、その有害な思考を消したのが臨死体験だったことである。

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あるとき、ある地方都市でタクシーに乗って運転手と世間話をしたときに、その運転手さんが自分は死にかけたことがあり、臨死体験の経験があると話していた。「ほんとうに言われている通りなんです」「美しいお花畑のような場所を見てきたんだけど」という話しを淡々とするので驚いたことがある。

「それ以来死ぬことが怖いとは思わなくなりました」と言っていた。

運転手さんが私相手になぜそういう話しをしたのか、あるいは乗客に時々そういう話しをしているのか、ほんとうの話しか、ネタような話しとしてしているのかはわからない。ネタ話しという感じではなかったので、急に話したくなっただけかも知れない。

私たちは絶望しなくてもよいのかも知れない。アニータさんの体験談は面白く読んだ。半分信じて半分疑え、の気持ちであるが、人はまじめに誠実に生きられるし、報われないように見えるこの世も、臨死体験者の話しから、自分なりに懸命に生きていてよいと知ることができる。そんな読後感。