小田急刺傷事件

2021年8月6日夜、小田急線で刺傷事件が起こる。藤沢発新宿行きの便で、成城学園から祖師ヶ谷大蔵のあたりでその事件は起こった。10名がけが、そのうち1人(女性)は重傷だったと伝えられる。車内は混乱したようだ。電車は乗客が異常を知らせ緊急停止、容疑者は非常用コックでドアを開けて線路づたいに逃げた。あの区間は高架になっているのだがどうやって下りたのかわからないが、西高井戸のコンビニで、いまテレビが伝えている小田急線の事件をやったのは自分だ、警察を呼べと店員に伝え、店員は警察に通報、まもなく確保された。

翌日にかけて、容疑者と犯行について情報が次々報道された。五輪開催中で、五輪放送が優先されていたが、ネットのニュースで続報が入るたびに記事を読んだ。容疑者は意図的に女性を狙ったと供述しているようだ。けがをした被害者は5人が女性、5人が男性ということだが、女性に対する不信感があったと述べているらしい。36歳の派遣社員だったらしい。地方から東京の有名私大理系に入り中退、その後職が定まらなかった模様。30歳あたりから世の中や自分をバカにする女性に対する怒りにとらわれたと伝えられている。同時に自殺用に買った牛刀で今回の事件を起こしている。

正規雇用を増やす労働政策をとった小泉政権以来(その中心に竹中平蔵がいる)、多くの若年層が非正規のまま苦労する国にしてしまった。30代半ばで定職につけない状況は苦しかったに違いない。犯罪は肯定できないけれども、背景には若い世代を絶望させる社会=経済=政治の構造的な問題があると感じる。少しでも市民の権利を剥奪しようとしてきた自民=公明政権の政治がこうした事件を準備した。同時に容疑者が不満や絶望を女性に向けたこと、そして女性は自分より下にいるべきだと彼が考えていたらしいことは、何とも酷いことだ。わきまえる女性を求めた森喜朗元首相と同じ男尊女卑の思考様式である。

今後こういう事件が起きないことを願うばかりである。東京の街は公共交通での移動が鍵になっているので、安全・安心が確保されていないと困る。列車内の犯罪が抑止できないようであれば、これからの社会において「秩序の感覚」が変わるだろう。