ラジオの朗読

ときどきラジオの朗読を聴く。

テレビの芸人さんがラジオで本音を出せるというようなトークをしていることがあるが、そんな本音を聞きたいとも思わない人がいるということを忘れている。

昨年夏頃やっていたNHKラジオ朗読の時間の有吉佐和子『紀ノ川』は、面白いと気づいて録音して聴いた。いまはNHKがインターネットで過去のファイルをあげているので、バックナンバーはそちらで聴いてみた。藤田美保子さんという俳優さんが会話部分を芝居調で朗読していたが、有吉のこの作品は文字で読むとしんどい。紀州の言葉につまづくのである。だが、耳で聞くと入る。

いま音声ソフトがあるので、文字がテキストファイルで手に入れば、音声ソフトに読ませることはできるのだが、まだまだ聴いてなるほどというレベルではない。プロの朗読で、作品が身近になるということは確かにある。

若い頃は朗読を面白いと感じるようになるとは夢にも思わなかったが、たまたま朗読で接した作品があり、文字を眼で追いかける読書に限界があると気づかされた。