テレビの占い番組

「突然占ってもいいですか」をTVerで見る。

占い番組は、占いの相談者を怖がらせるもの、脅すものが過去にあってイメージはよくない。占い番組と似たものとして、守護霊が見えるとか生き霊がどうの・・というオカルト含みの番組もまだまだ生き延びているし、最近では芸人さんが~の霊が見える・・というようなことを言いながらトーク番組をしている。

この番組は怖がらせたり脅さないという点では、いまの社会に合わせたように見えるが、問題も多い。占い師が占いに依存してはダメ、占いはポジティブに利用するものという立場をハッキリさせているのはよいのだが、コンプライアンス的に、それでもまだ問題はある。

ある相談者があからさまに苦境を訴える回で驚いたが、印象に過ぎないけれども、御本人が情緒不安定になっている感じで心配になった。占いではなく専門のお医者さんとかカウンセラーに任せた方がよいのではないか・・と思った。占い師さんもまじめに話しているのだが、子どもが生まれて幸せになるというような託宣を述べていて、本人とパートナーのあいだの基本的に極めて私的なところに踏み込んでいるのが気になった。子どもを望んでもなかなかできないケースはあるし、子どもが生まれれば幸せになるという言い方も、テレビでやるとまずいのではないか・・と感じた。相談者のタレントさんは8月に休業宣言を出して、占いはその前の収録らしかった。また放送は宣言の後になったということだった。占いの内容をテレビで放送するというのは難しい。占いは本来内緒で私的な領域のもので、占い師の踏み込んだ話しは私的な空間であれば、相談者本人の考え方次第となるが、テレビで公開してしまう場合は、行き過ぎではあるまいかと感じることが多い。占い師にいろいろ言われて、タレントたちが素の表情を見せるように見えるので面白いという番組なのだろうが、何度も回数を重ねると微妙になっていく。

この番組では占い師が未婚やシングルのタレントたちに「離婚します」という言い方もよくしていて、結婚する前に「離婚します」というのも、かなり際どい発言ではある。占いのショーだ、エンタメだという言い訳が、どこまで通用するかということなのだが、いつもこれは微妙なところだなと思う。占いでよいことを言ってもらえれば、励まされたり、慰められたりする人は多いし、思い詰めていた気持ちを少しだけラクにするという効用はあるかも知れないが、人の運命は自分で切り開くものという軸は外さないようにしないと占い番組は最後はぐだぐだになって終了というケースがあると思う。

霊能者の方の託宣をいう番組も過去にあったが、霊能者の方を悪く言うつもりはないが、人の生活や運命に踏み込む発言というのは、いつも危ういものだと思う。過去のその手の番組が割と簡単に消滅しているのも、いろいろ無理が重なって、視聴者から飽きられるだけでなく、放送の倫理と抵触する側面が隠せなくなっていくからであろう。

丹波哲郎さんのように、スウェーデンボルグのネタを、少しオーヴァーに自分流にアレンジして堂々と話す・・というような俳優さんがいた。それはそれで俳優さんの芝居の1つとして見られるものはそれなりに人を楽しませ慰めたのかも知れない。丹波さんは映画をつくってしまって、自分のネタで映画人を食わせるところまで持っていったわけで映画人のほら話の1つの成功例かも知れない。

スピリチュアルに行かずに、視聴者が常識の範囲で楽しめるところで収まるならば、こうした番組はあり得るのかも知れないが、占いをショーアップするのは常に危険な部分がある。

霊の問題をテレビが軽く扱うのはいつも抵抗感を持っている。怪談ということかも知れないが、合理性を否定するところまで行くと、社会問題・政治問題になると思う。