さらば夏の日

亡くなった橋田壽賀子さんの脚本で「さらば夏の日」という単発ドラマがある。テレビドラマデータベースで検索すると1971年8月22日放送だったようだ。キー局がCBCとあり、名古屋制作というのは意外だった。放送日は日曜だったはずだから、東芝日曜劇場だったのだろうか。実は内容はほとんど覚えていない。当時アイドル的な人気があった吉沢京子の方を見るためにチャンネルを合わせたのか、このドラマを橋田作品と知らずに見て印象に残ったのだった。

印象に残っているのはどうしてかよくわからない。夏休みの終わりに見たドラマだったからだろうか。あの頃、名古屋に住んでいてCBC制作だったのであれば、おそらく新聞のテレビ欄かなにかで見て、たまたま見てみたいと思って見たということだったのか。

主役はあおい輝彦で、主人公の母親役が奈良岡朋子というところまでは覚えている。若い男の主人公の家族への反抗(家を出て働いてみる、というプロットだったような気がする)と同年代の若い女性との恋愛感情を交えたものだった・・というのが自分のなかの曖昧な記憶(間違っているかも知れない)で、このドラマを私は「青春ドラマ」という感覚で見たのだった。

この"「青春ドラマ」という感覚で見た"橋田作品というところが、今回の記事の肝で、それ以上の情報も内容もない。

橋田さんの作品のなかでは小さいものだろうし、私自身が物語の内容を忘れて、青春ドラマを見たという印象だけが残ったということを書いているだけである。ブログの記事としてはほんとうに内容がないことを書いているのだが、青春ドラマだと思って見たドラマの脚本が橋田さんだったというのが、後で考えると不思議な感じが改めてする。

主人公の青年はドラマのラストで自分の家に戻る選択をしていたように記憶しているのだが、これも曖昧な記憶で間違いかも知れない。そのラストを何とも切ない感覚で受けとめたことをうっすら覚えている。

小さい作品、単発だし、どうということはないのかも知れないが、時々橋田作品と知らずに見たこのドラマをもう一度見ることができたら、いまの私はどういう風に感じるだろうと、あれから何年もたって、たびたび思いだしていた。インターネットの時代になり、検索をかけると橋田さんの作品とわかり、(ああ、こういうものも書いていたのか)と思ったのだった。橋田さん訃報で、この作品を思い出したのでちょっと書いてみた。詳細を覚えていないのに「思い出した」も変なのだが。

まぁ脚本が活字になっていれば読めるのかも知れない。どうなのだろうか。自分でググればよいが、テレビドラマデータベースのページ以上のことは調べていない。映像は残っているのだろうか。無理に調べないで、勘違いを含んだ思い出だけにしておいてもよいかも知れない。